<日独労働法協会の設立経緯>

  日独労働法協会の設立の構想が生まれたのはかなり以前のことになる。もともと、日本の労働法学研究者は、ドイツ労働法学の影響もあって、長い交流の歴史をもつが、それは、研究者レベルの個別的な交流にとどまっていたために、研究者相互のなかで研究交流を深めたいとする希望はあった。しかし、それが研究会形式にとどまることなく、本協会の設立が構想される経緯には、ドイツ側の日本への関心が大きな背景となっている。1980年代後半から90年代にかけて、日本経済が国際社会のなかで大きな比重を占めるにともない、ドイツ側の研究者や労使関係実務家が日本の雇用システムや労使関係、そして労働法に関心をもつに至ったこと、また、日本労働研究機構その他の国際交流事業を通して、ドイツの労働組合や企業・経営者団体の実務家が多く日本に訪問するにいたったことによって、単なる儀礼的交流よりも内容のある実質的な交流を求める声が登場したことである。
 具体的に協会設立への準備を進める過程では、研究者のなかでまず学会開催の折に話しあいをもつことからはじまり、96年7月に第1回の準備会を開くにいたった。そこで、日独の実りある双方向の交流を進めることはもちろんであるが、同時に、経済のグローバル化等、労働法学をとりまく環境の変化を踏まえ、これまで交流の少なかった研究者と実務家との交流の拡大をはかることにも大きな重点をおくことが確認された。幸い、研究者による準備会の設置からはじめて、労働組合、経営者団体、労働行政、労働弁護団、経営法曹会議等の各団体で労働法にかかわる実務を担当されている方々にご協力を頂くことができ、96年11月に拡大準備会を、97年1月には発起人会の開催をみるにいたり、今回の設立にいたったものである。

 (日独労働法協会編『日独労働法協会会報』創刊号(1998年)より)